近年「腸洗浄」をあまり見かけなくなったのはなぜ?

ひと昔前に、ガンコな便秘対策のひとつとして「腸洗浄」というものが流行したことがあります。

 

腸洗浄とは、「腸内に何らかの薬剤を入れたり、水圧をかけるなどして、腸にこびりついた宿便ごと、スッキリすべて排出させる」というものです。日本よりも前にアメリカでブームが起こり、それを日本のセレブや芸能人がアメリカでコッソリやっていたのをきっかけに日本でも認知が広まり、一時的に大ブームを起こしました。

 

しかし・・・今って、腸洗浄なんて、あまり見かけませんよね。その理由は何なのでしょう?

 

「宿便」という存在自体が嘘、という常識が、ようやく知られはじめた!

腸洗浄の流行がすっかり終わってしまった大きな理由として挙げられるのが、腸洗浄の最大の売り文句であった「宿便をとる」ということ自体が大嘘だ、ということが、近年になってようやく多くの人に知られるようになってきたからです。

 

腸洗浄の世界においては、宿便の定義は、「腸壁にガンコにこびりついた、古い便のカス」「腸壁のヒダの中に食い込んで、なかなか取れない便」などというものでしたが、このような状態の宿便というのは、たとえ便秘の人の便であっても、実は存在しないのです。

 

そもそも腸というのは、「汚れが簡単にこびりつく、乾いたコンクリートトンネル」のようなものではありません。腸の内部は常にぬめった状態ですので、便のこびりつきなどは起こることがないのです。

 

もちろん「腸壁のヒダの中に便が食い込む」というのも大嘘。腸のぜん動運動とともに、ヒダも常に大きく動いているため、そこに便が詰まるというのはまずありえないのです。

 

そして、それでも仮に、ヒダの間に便が食い込むようなことがあったとしても、腸壁の細胞自体は数日程度で新しい細胞に生まれ変わって、古い細胞ははがれていくので、たとえ「ヒダにはさまった便」があっても、ヒダの細胞の生まれ変わりと同時にはがれていくという理屈になるのです。

 

「腸壁にこびりついたり、ヒダに食い込むような宿便なんて存在しない」というのは、これまでの医学界での検査等で映されてきた、数々の「大腸内の画像」を見ても分かります。
たとえポリープやがんがあるなど、かなり腸の状態が悪い人でも、全体的に腸壁はピンク色で、異変のあるところについては変色や変形はあるものの「腸壁に古い便がガンコにこびりついているのが見える」などという状態にはなっていないのです。

 

こうした経過があって「腸洗浄の売り文句自体が嘘だった」ということを知った人が、どんどん腸洗浄をやめていった」というのが、ブーム終了の大きな理由と考えられます。

 

腸洗浄の危険性

「たとえ宿便の存在が嘘であっても、腸内をスッキリキレイにできるのなら、今からでも腸洗浄を試してみようかな」なんて考える人がたまに居ますが、これは絶対におすすめできません。

 

なぜなら・・・腸洗浄というのは、非常にリスクの高い行為だからです。
腸洗浄をやれば、腸内にあるものがスッキリなくなるのは事実。ですが、なくなるのは便だけではありません。必要な腸液まで、流しきってしまうんですよ。

 

これは、腸が一時的にとは言え、完全に無防備になってしまうため、腸にとって非常にダメージが大きいものなのです。
それこそ、私たちの身に例えれば「極寒の地で、すべての衣服を奪い取られて裸でしばらく放り出される」というくらいのレベルですよ。

 

さらに、腸洗浄のノズルを肛門から入れる際に、肛門や直腸を傷つけてしまうというトラブルが発生するケースも、あとを絶ちませんでした。

 

ですから「スッキリしたいから」という理由だけで、腸洗浄をやろう、などと気軽に考えるのは、絶対に禁物ですよ。手出ししないのが一番です。